理事長挨拶 - 日本産業ストレス学会-産業ストレス/メンタルヘルス情報発信

理事長挨拶

理事長挨拶

年頭のご挨拶
 産業ストレスに関する課題は多岐にわたります。長時間労働や仕事のストレスが働く人の健康を損ねていることから、働き方改革、ストレスチェック制度などの新しい政策・制度が導入されています。とくに今般のコロナ禍は、私たちの社会に大きな影響を及ぼしており、非正規労働者や女性、高齢者など社会的に弱い立場にいる労働者への対応は喫緊の課題です。急激な環境の変化の中で、テレワークやマルチワーク、裁量労働制などの新しい就業形態が増加し、エッセンシャルワーカーや、従来産業保健活動のアプローチが及びにくかった休職者、フリーランスを含む自営業者等、多様な労働者が直面するストレスも明らかになってきています。

 一方で、情報通信技術による次世代の生産革命(Society 5.0)に向けて進歩する社会の中で、働く人が活力をもって仕事に取り組める社会や組織の醸成が生産性の向上につながるとするポジティブな健康経営の考え方が生まれてきています。

 産業ストレスに関わるステークホルダーは多岐にわたり、それぞれの交流が、心身ともに健康で、生産的な従業環境を生み出していくために必要と思われます。関心のある方々のニーズを的確に捉え、参加しやすいプラットフォームを提供していく必要があります。

 本学会は、以上のような産業ストレスに関連する多様な課題について研究を推進し、実践活動を支援することで、働く人の健康と幸福および社会の発展に貢献することを目指しています。本学会は特に以下の項目に力を入れて活動してまいります。

1. 国内外の関連学会・団体との連携を進め、産業ストレスに関する学際的、国際的な研究の推進と実践支援を行う
2. 多様で、新しい働き方による産業ストレスに関する研究と実践支援を行う
3. 産業ストレスに関連する重要な法制度や、現場の実務につながる情報の発信を通して、労働者のエンゲイジメントを高め、健康経営に資する支援を行う
4. 産業ストレスに関心のある人々の一層の参画が可能となる場を提供する

 産業ストレスの対策を通じて、全ての働く人とその家族の健康と幸福を実現し、企業・組織、社会をよりよいものにしてゆくために、さまざまな職種・立場の方が集まり、研究成果と現場の好事例を共有し、意見を交わし共に学び合うことが大切なことであると思います。日本産業ストレス学会は、産業ストレスの研究と実践について、ポジティブメンタルヘルスも視野に含めた予防から診療に至るまで研究し、その対策を学ぶ場を広く提供し、皆様とともに、心身ともに健康に働くことができる環境を目指してまいりたいと考えています。

 日本産業ストレス学会 理事長 堤 明純

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