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新型コロナウイルス感染症ストレス対策好事例 インタビュー

Nagai Noriko
永井典子さん
パーソルチャレンジ株式会社
人事総務部
(採用と社内の安全衛生に関する対応を担当)
Honda Hiroko
本田紘子さん
パーソルチャレンジ株式会社
受託サービス第1事業部
(障害者手帳を持っている社員への定着支援を担当)
INTERVIEW
障害で型にはめることなく、一人ひとりの特性や制約に対処し一緒に乗り越えていく

 今回は、会社全体の対応と障害者の定着支援の2軸からお話を伺いました。

在宅勤務への移行による不調者は増えていない
 永井さん(以下、N))当社は特例子会社のため、全社員の5割以上が障害のある社員となります。当社では、もともと在宅勤務を制度化しており、制度適用が可能な社員は週1回〜2回程度は在宅で仕事をしていました。今回、働き方の変化と新型コロナウィルス感染への不安といった要素が異なるストレスがあると思われますが、現時点で不調者が増えた事実はありません。当社は健康相談に関する窓口があり、不眠や運動不足に関する相談がありますが、全体の1%も満たない程度です。

 本田さん(以下、H))自身が所属する部署は精神障害者がある社員が多く就業していますが、ストレスが増えたという声はあまり上がっていません。業務上、オフィスへの出勤が必要な場合は、シフトを組んで、交代で出社していますが、出社が減ることで通勤に関するストレスや職場で感じる対人面の不安は減るとともに、懸念していたコミュニケーションも、元々、オンラインでのコミュニケーションは日常的に行っていたこともあり、想定以上に適応は早かったと感じています。

 一方で、生活リズムの乱れや業務への不安の声はあるようです。自宅で業務に集中し過ぎてしまった、業務上のコミュニケーションに時間を取られてしまった、仕事で頭がいっぱいになり、その余裕のなさから自分自身の健康管理が二の次になってしまった、などの声もあがっています。

 当社は体調変化や不安がある場合は、「自分から発信する」ことが重要であることを伝えており、社員自身の自律を促してきました。ただ、今回は新型コロナウィルス感染症に関連した不安がある中での在宅勤務のため、社員からの発信を待つだけでなく、出来る限り現場の管理者や定着支援者からの声かけを増やし、社員の状態を把握するようにしています。また、上長と社員の定期面談も続けていますが、「問題がない」と言いながら自分自身の状態に気づけていないこともあるので、関係者が異変に気づいたら対応出来るようにしています。顔が見えない状況でいかに変化に気づいていくか、その難しさを感じています。

体調変化の可視化、複数のサポート体制、雑談の場でのフォローを実施
―本人の異変に気づくため、どのような対策をされていますか。
 H)これは横浜オフィスでの対策になりますが、健康管理アンケートを毎週行っています。社員が自分の今の状態について各項目に沿って数字をつけていき、その結果をマネジャーと健康支援担当が確認します。週ごとに数値で状態を可視化することで、社員も過去の数値から自分の状態の変化に気づくことができ、管理側としても、数値を元に様子を聞くことができます。共通ツールがあるのは双方にとって伝わりやすく、こちらも状況の理解度が上がるように思います。この取り組みは始めてから1年経ちますが、今回のような状況ではとても役に立っています。


 N)自身の健康面の不安を、評価者であるマネジャーへ伝えることに抵抗を感じる社員もいます。そのため、弊社では健康支援担当を事業部ごとに配置して相談しやすい体制を作っています。


 H)また、働く姿が周囲から見えないことで、さぼっていると思われていないかと自身の成果を気にして焦りや不安が出る人や、会議や雑談が減ったことで業務への対応時間が増えて疲労が溜まっている人もいます。そのため、各上長の許可を得た上で、勤務時間中にあえて業務外のことを話す場として、オンライン講座を開催しました。在宅勤務中の健康管理や今後のオフィスワークを意識した生活管理について話し、雑談も交えて各自が業務に関係のない自分自身の話ができるコミュニケーションの場にもしています。

これからの働き方はより自己管理に重点を
 N)雑談の苦手な人、プライベートな話をオープンにするのが苦手な社員はいるので、そこに在宅勤務は適していると思う一方で、これは障害の有無問わず、チャットやメールでやり取りするほどではないようなちょっとした会話ができないのは辛い、と感じます。些細な会話をし、たわいもないことで笑うのがいかに重要かということを実感します。些細な会話がないだけでも小さなストレスが溜まり、長期的にはコミュニケーション問題に影響すると思うので、そこは改善していかなければならないと思っています。毎日朝と夕方にオンラインで会議をするチームも多いのですが、在宅勤務が長引くと、共通の話題が少なくなったり、オンラインの不具合で会話が切断されたり、話しづらい雰囲気ができてしまいます。特にメールで情報共有する文化のある部署や大人数での会議が開催できない今、会議自体が減っていく傾向があります。しかし、対面で話す場を持ち続けることはメリットがあり重要だと思っています。

 実は自粛明けに在宅勤務に切り替えたいと申し出ている社員もいます。今回の新型コロナウイルスが収束したら、在宅勤務制度が適用できる範囲を制度で区切っていたところから、健康面で働き方を変えていく必要もあるかもしれません。判断が問われてくると思います。

 雇用管理含めてきちんと仕事ができているかという評価は、在宅勤務では難しいのではないかという議論はあります。しかし、今後は会社が管理をしていた部分にある程度自己管理の観点が入ってくるのではないかと思います。会社の管理から自己管理の割合を増やしていかざるを得なくなると思います。


 H)私も自己管理に任せるようになるのかなとは思います。それと、今回の在宅勤務で課題に感じるのは、フォローが十分に行き届きにくい中で、このままでは管理者の負担が増えていくのではないかということです。健康を自己の管理に任せつつ、いかに健康支援担当の人間が支援して、どのくらい管理者に任せていくか、整理が必要になっていきます。障害者手帳を持っている人をサポートしている社員へのフォローも必要です。


 N)サポートメンバーも全部を管理したい、把握したい、全ての相談に応えたい、という気持ちはあると思いますが、どこかでの線引きができないと、個人の負担も大きいと思います。この基準はまだ曖昧であり、かつ属人化しやすい部分でもあるため、今後、整理が必要だと思います。

 それでは何から手をつけるか、というところですが、これはまずリーダー層の育成なのだろうと思います。キーパーソンをリーダー層として、そこへの教育を通して社員に伝えていくのがいいのだろうと思います。リーダーシップのあり方も変わっていきます。これまで見えていたものを元に評価していたものを、見えないものを含めて指示出しをしていく必要があります。より信頼関係が重要になります。

 今回のことで、事業計画は変わりません。採用を止めている会社も多いですが、当社は障害者雇用を止めない、という決断をしています。上下の信頼関係構築と目標設定のすり合わせ、適切な評価によって、社員のモチベーションを高めることが重要と考えています。

一人ひとりの特性に向き合い、目標設定と評価でやりがいを創出
 H) 関係性の構築が上手くできるかは大事だと思います。的確な業務指示や仕事の割り振りは上司の役割ですが、部下がどう感じているのかを聞こうと思っている人は、信頼関係ができやすいと思います。出てくる発言だけを受け取っている管理者もいれば、「それはどうして?」と深掘りして相手の発言や真意をもっと聞かせて欲しいと接する管理者もいて、やはり両者でチームの雰囲気は違います。相談しあえる関係であるかどうか、一人ひとりが安心して発言できる環境を作れているかは、健康にも仕事にも影響が大きいです。


 N)当社のような、多様な社員が在籍している職場は、一人ひとりと向き合い、忖度や推測で決めることなく、本人が今思っていることをきちんと確認する、一方通行にならないことが大切で、それができている職場は生き生きしているように思います。

 それから、良い意味で期待しすぎないことも大事だと思っています。「これだけしてあげたのに」という思いだけが先行してしまうと、サポート側も辛くなってしまいます。とはいえ、仕事をする場ですので、働くうえでの制約に対して対処法を持って仕事をしてほしいと思っています。これは障害における制約だけではなく、ライフイベント(育児や介護など)ついても、何らかの対処法を持って欲しいと伝えています。

 目標設定や評価をフィードバックする場面では、仕事上での期待値も伝えます。そこをなくしてしまうと、本人のモチベーションの在りどころがなくなってしまいます。ただ、その人の状態によって目標設定することが大事ですので、上司部下間での目標設定のすり合わせを重視しています。

 特例子会社で目標設定をさせるのは珍しいかもしれません。評価をされることによってストレスがかかる場合もあると思います。しかし、当社では頑張った社員をきちんと評価していく制度を持ちたいと考えています。評価のためには目標設定のすり合わせが重要です。


H)精神障害の社員の割合は多いですが、本人の障害や病気といった型にとらわれず、今まで通り、本人が苦手なことと会社ができること、自己管理できることを見ながら、「管理」というよりは「一緒にやっていく」という姿勢で、これからも取り組んでいきたいと思います。

―ありがとうございました。
(2020年5月下旬、聞き手:小林由佳)




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